東本願寺で残業代未払い 僧侶2人に660万円
真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)が非正規雇用で勤務していた男性僧侶2人から未払いの残業代の支払いを求められ、2013年11月~今年3月までの計約660万円を支払っていたことが26日、分かった。
2人は全国の門徒が泊まりがけで奉仕のために訪れる東本願寺境内の研修施設の世話係。13年4月から勤務し、今年3月末に雇い止めになった。早朝出勤、深夜退勤もあり、時間外労働は多い月で計130時間に上っていた。
きょうとユニオン(同市南区)が15年11月から団体交渉を実施。未払いだけでなく、大谷派が労働時間を把握していなかったことや、職員組合と残業代を支払わないという違法な覚書を1973年に交わしていたことが分かった。世話係に対し、40年以上残業代を支払っていなかった可能性があるという。大谷派は「信仰と仕事の両面を考慮して法令順守に努めていきたい」とコメントした。
(2017.4.27 日本経済新聞)
寺社の労務管理については、2016年4月、世界遺産・仁和寺の宿坊の料理長の男性が、長時間労働により精神疾患を発症したとして、未払賃金の支払いを求めた訴訟で、京都地裁が約4200万円の支払いを命じる判決がありました。精神疾患の発症前年には1年間の勤務日数が356日に及ぶなど、仁和寺のずさんな労働時間管理が明らかになりました。
今日は同じ京都の寺社である東本願寺の賃金不払いのニュースです。記事によれば、1973年に組合と残業代を支払わないという覚書を交わして以降、40年以上残業代を支払っていなかった可能性があるというのですから、初めから残業時間を管理する気もなく、一般企業であれば極めて悪質な案件です。
寺社仏閣は修行の場であり、一般の労働者とは違う意識で雇用していたのかもしれませんが、賃金を払って労働を提供してもらう以上、労基法の適用が及ぶ「労働者」に該当します。文字通り釈迦に説法かもしれませんが、そもそも仏教は弱者救済の宗教のはずで、賃金不払いなど仏の道に反する行為ではないのでしょうか。
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